津田氏との電子メールの履歴

以下は、ここで公開している『CONTENT'S FUTURE(コンテンツ・フューチャー)』について、本書の共同著者津田大介氏とやりとりした電子メールの記録です。メールアドレスや本文中のクレジット、前メッセージの引用部分は削除しています。また、本文を改行せずに送っていたメールもあったのですが、これは改行を追加しています。


From: Motohisa Ohno
To: TSUDA Daisuke
Sent: Wednesday, August 01, 2007 10:59 PM
Subject: 『コンテンツ・フューチャー』の CC について

津田大介様

はじめまして。突然、メールでご連絡することをお許しください。
ときどき津田様の「音楽配信メモ」を興味深く読んでいるものですが、
本日(8/1)のエントリに見逃せない記述がありました。具体的には、
津田様が小寺様とともに執筆された『コンテンツ・フューチャー』について、

> 商業出版物としては珍しい「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」を付けた

とあります。松岡氏のレビューによれば、

「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス付き」「著者クレジット表示」
「非営利利用のみ」「改変禁止」

とありますが、これは、書籍全体を丸ごとスキャンして、そのまま
公開してもかまわないということでしょうか。
この [CC] の指定から考えて、わざわざ確認するようなことでもないと
思いますが、ちょっとした(かなりの)驚きでしたので、
確認させていただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

大野 元久

From: TSUDA Daisuke
To: Motohisa Ohno
Sent: Thursday, August 02, 2007 3:22 AM
Subject: Re: 『コンテンツ・フューチャー』の CC について

はじめまして。津田です。
大野さんのブログ、僕も何度か読ませていただいたことあります。


> > 商業出版物としては珍しい「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」を付けた
> とあります。松岡氏のレビューによれば、
> 「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス付き」「著者クレジット表示」
> 「非営利利用のみ」「改変禁止」
> とありますが、これは、書籍全体を丸ごとスキャンして、そのまま
> 公開してもかまわないということでしょうか。
> この [CC] の指定から考えて、わざわざ確認するようなことでもないと
> 思いますが、ちょっとした(かなりの)驚きでしたので、
> 確認させていただければ幸いです。

ご明察の通りです。CCに「ネットでの公開はダメ」みたいな細かいライセンス形態が
あればそれも考えたかもしれませんが(あるいは出版社から「ネットだけはやめて
くれないか」といわれたかもしれませんが)、現実にそういう指定はできないですし
(文化庁の自由利用マークを使うという方法はあったでしょうが、あれもあまり
普及してないですし、CCを使うことの方が意味があったとは思います)、
CCを付けるならネットにコピーされて転載されることも当然承知の上で
やっています。



そのことについては最後のあとがきに書きました。その部分を抜粋すると

>  本書は商業出版物としては珍しい「クリエイティブ・コモンズ」の
> ライセンスを付けて発売させてもらうことになった。これは僕の強い希望で、
> 狙いとしては本書をコンテンツというものを考える上での「教科書」的な
> 存在にしたかったということがある。「鼎談集という体裁を取っているのに
> 教科書も何もないだろう」というツッコミはあるかもしれないが、前述した
> ように僕はコンテンツ論に「正解」はないと思っている。だから、本書を
> 読んだ読者の人が僕らと一緒に「コンテンツの未来」を考えたくなるような
> 本を作れれば、目的は半分以上達成できたわけであり、その人にとっては
> それが何よりの「教科書」になるはずだ。もちろん、ある程度教科書としての
> 実用性があるに越したことはないので、発売日を控え、日増しに青い顔に
> なっていく毛利さんを横目に印刷所に入稿するギリギリまで脚注を書き続けた。
> 脚注には小寺さんや僕がこれまでの取材活動で得た生の知識がたくさん
> 盛り込まれている。ネットにはまったくソースのない初出の情報もたくさん
> 入れ込んだつもりだ。せっかく自由にコピー可能なクリエイティブ・コモンズ
> という形で配布しているわけだから、こうした情報をウィキペディアに
> 転載するなり、自分なりにさらに情報を調べて項目を一から作るなりして、
> ネット上のテキストコンテンツを豊かにしていっていただければ幸いである。

という感じです。もっとも「改変不可」というライセンスなので、Wikipediaに
転載する場合、出展を明らかにしてもらって、その部分は変更されないような
工夫が必要なんでしょうけど、まぁそのあたりは細かい話なので。本書自体に
Wikipediaの話も結構出てきてて、それと著作権ライセンスをどう捉えるか、
みたいなまさに多重構造になってるんですよね。この本は。

僕個人としては表示-非営利であれば改変については許可しても良かったのですが、
ものが「対談・鼎談本」なので、誰かの発言が意図と違う形で勝手に改変されて
伝わっていってしまうことに、普通のテキストよりも大きな問題をはらんでいると
思ったので、やむなく改変禁止にしている部分もあります。が、取材対象者の
江渡さんからは表示-非営利-継承(改変OK)にして欲しいという要望があったの
ですが、本自体に複数のライセンスを付けられないという問題があったので、
結果としてCCでは一番厳しい「表示-非営利-改変禁止」になってます。

ですので、それこそ大野さんが発売日に本書を購入してきて全部スキャンして
自分のサイトに上げるということももちろんやっていただいて構いません。
(もちろん、こちらからあえて推奨することはしませんが)。
ただ、その場合単にスキャンで画像化するだけでなく、きちんとPDFなりで
OCRかけて埋め込みテキストを編集して、コピペ可能な状態で配布して欲しいと
思います。個人的な要望ですけどね。

ブログでアフィリエイトやられている場合も、Adsense貼ってる場合も
とくに「商用利用」とみなすつもりはないです。少なくとも僕個人は。
まぁ発売されたばっかで全部転載されると売上減っちゃうかもな、とか
そういうネガティブな部分がゼロかと言われればゼロではないですが、
でも正直なところ10%もないですね。


本書をCCで配布したことの意味は、内容を読んでいただくことでより理解
していただけると思っています。ぜひご一読いただき、ご感想など頂ければ
(もしくはご自身のブログに書評をアップしていただければ)ありがたいです。

From: Motohisa Ohno
To: TSUDA Daisuke
Sent: Friday, August 03, 2007 10:57 AM
Subject: Re: 『コンテンツ・フューチャー』の CC について

津田様

お返事が遅くなってすみません。また、大変丁寧なご説明、ありがとうございます。

> CCを使うことの方が意味があった

そうお考えの方がいらっしゃっても、なかなか行動に移せる方はいません。
翻訳モノではない和書、かつ商業出版物で CC にしたものというのは
ないのではないでしょうか。
早速、amazon で注文しました。
内容は大変楽しみにしていますが、届く前に書評が書けそうです(←それは嘘)。
今後のご活躍を心からお祈りします。

大野

From: TSUDA Daisuke
To: Motohisa Ohno
Sent: Thursday, August 09, 2007 3:11 AM
Subject: CONTENT'S FUTUREの公開について

津田です。

http://www.mohno.com/contentsfuture/
以前お返事した通り、公開されることにまったく意義はありませんが、
CCライセンス「改変禁止」なので、OCR化に伴うテキスト変換のミスは
きちんと修正してから公開していただければ幸いです。いくつか残っているようです。

あと、できれば
http://blogs.itmedia.co.jp/mohno/2007/08/post_b7a7.html
本に関する寸評については、全部の章を読み終えてから語っていただきたく思います。
どのような順番で読んで、最終的にどのようなことを思うか、というところまで
心を砕いて作った本ですので。

From: Motohisa Ohno
To: TSUDA Daisuke
Sent: Thursday, August 09, 2007 11:22 PM
Subject: Re: CONTENT'S FUTUREの公開について

津田様

ご連絡ありがとうございます。

先立って同様のご指摘が「はてブ」にあることに気付きましたので、
後ほど確認する予定です。OCRは「思ったよりは」役立つのですが、
やはり相当の修正は必要ですね。実は、スキャンは完了しているのですが、
すべてのテキストを読み通して確認しているので、明け方までかけて
作業していますが、公開できるのはせいぜい1~2章です。

なお、誤字はとくに「改変」を意図したものではありません。
たとえば、コンサートで演奏をトチったからといって、
同一性保持権侵害だと指摘される方はいらっしゃらないと思います。
正確さには配慮しますが、下記のようなご指摘は正直どうかと思います。
誤字についてはフィードバックを受ける仕組み(メール)を
追加しようと思います。

寸評については(だからこそ「書評」と書かなかったのですが)、
とりあえず 「TV」's future を語られる方を読んだ感想です。
エントリではおとなしく書きましたが、「コンテンツ・フューチャー」
という書名なのですから、現状なりの“正解”(に近いもの)があると
期待するのは普通ではないでしょうか。
本書では、「コンテンツ(に携わる)ピープル」(の一部の人)の
考え方を知ることはできるのですが、コンテンツの未来像を知ることが
できません(それは津田様自身があとがきで言及されているのですが)。
たとえば、東京MXの草場氏は典型的で、Blog TV の YouTube 公開が
はじまって1年になろうするのに、他に追従する気配はありません。
この方の話が「テレビコンテンツの未来」の参考になるのでしょうか。
たとえば、そのような大きな疑問が生じたのです。

とりあえず次の書評(または寸評)は、読み終えてから書きます。

大野

From: TSUDA Daisuke
To: Motohisa Ohno
Sent: Friday, August 10, 2007 12:42 AM
Subject: Re: CONTENT'S FUTUREの公開について

津田です。

CCとして公開している以上、どうそれが利用できるかを僕と小寺さんが
規定できるわけもないのですが、僕らはコンテンツの創作環境に対するポジティブな
思考の手助けとしてのツールになる、またはあれを電子化する際にどのような
クリエイティブな「編集」が加わって、新しい付加価値が生まれるのかといった
相乗効果を期待してCCライセンスにました。ですが、大野さんのご返答や、
実際にやられていることからは、そうしたポジティブなクリエイティブの
スパイラルにつながりそうもないな、と感じました。その点は残念です。

「おとなしく書きましたが」という文面に対する買い言葉ではありませんが、
現在公開されている部分は、通常の出版物ではありえないような誤植が多数
見受けられています。公開していただくことはまったく構いませんが、
そこはきちんとした確認のプロセスを経て公開していただきたいし、そこに
ついては面倒でもきちんとした(読みやすさも含めて、ということもありますが、
それを言い出したらきりがないので、少なくとも誤植については)労力を
コストとして払っていただき、公開していただきたいというのが、著者としての
「要望」です。要望を伝えることは別に構いませんよね?

その要望に対してどのようにお感じになるのか、どのようなアクションを
行うかは、大野さんのパーソナリティーに帰結する話だと思っておりますので……。

From: Motohisa Ohno
To: TSUDA Daisuke
Sent: Friday, August 10, 2007 4:01 AM
Subject: Re: CONTENT'S FUTUREの公開について


津田様

お返事ありがとうございます。

「改変禁止」と指定されているのですから、“クリエイティブのスパイラル”を期待
されているというのはちょっとわからないです。常識的に考えて対談の“改変”を許
諾するのはおかしいと思いますが、「改変禁止」を指定されたものは、それ自体で
「完結した作品」なのだと考えています。実を言うと、このテキストが完成したら丸
ごと、ある「クリエイティブ」に利用してみたいとは考えて(というより空想して)
いるのですが、それはオマケの話(青空文庫の作品でもできること)であって、CC
指定された本書は、それ自体を「作品として共有する」(=クリエイティブ・コモン
ズ)ものであるというのが私の理解です。

なお、先のメールで指摘されたように「どのような順番で読んで、最終的にどのよう
なことを思うか」ということであれば、やはり全体でひとつの作品であり分割アップ
ロードすらためらわれるところなのですが、これは津田様自身が部分的な利用を認め
られていたので、安心してやっています。

さて、先ほど確認しましたが、たしかに誤字は多かったですね。すみません。「つ」
「っ」は鬼門です。

しかし、“コモンズ”なのに「労力をコストとして払っていただき」と言われるって
いうのは、やっぱりわからないです。著者自身が手書き原稿しか持っていないような
作品を青空文庫で公開してもいいよというときに、テキスト入力の労力を第三者がコ
ストとして払うというのであればわかるのですが。あとがきで「コンテンツ・フュー
チャー」を“教科書的な存在”にしたかったと書かれているのですが、率直に申し上
げてCCを誤解されているのではないかというのが「私の印象」です。

大野

From: TSUDA Daisuke
To: Motohisa Ohno
Sent: Friday, August 10, 2007 5:19 PM
Subject: Re: CONTENT'S FUTUREの公開について


津田です。

以前のお返事でも書きましたが、僕が(ちょっとだけ)ネガティブに感じてる
ことをシンプルにお伝えすると、

・誤字が多いことによって、僕と小寺さんだけでなく、他人の発言の意図が
正確に伝わらなくなってしまうこと

を懸念しています。そのために改変禁止にしているわけですが、ウェブに落とし込む
作業というのは、縦書きのものを横書きにレイアウトし直す必要が生じるわけで、
デザインなども含めたところまで改変禁止としたら、実質的にウェブへの掲載というのは
できなくなってしまうでしょう。

が、僕も小寺さんもそれは別に構わないと思っています。章ごとに一部を抜粋して
掲載することも同様の意味で問題ないと考えてます。

ただ、発言の内容そのものに関してはテキスト化する人の労力で100%に近い形で
同じようにできるわけですから、そこの部分はきちんとした作業を経た上で公開して
もらいたいというのが僕の考えです。

途中まで読んだものに対して作品の感想を記載することに関しては、クリエイティブ・
コモンズ云々の話ではなく、小説や映画を途中までしか見ずに全体の感想を述べる行為に
対してクリエイターはイヤだと思う、感情レベルの話ですよ。全部読んだあとで大野さんが
「別にこの本が示してるコンテンツの未来なんて大したことないじゃん」と思われるなら
それはしょうがないことですし、そういったご批判、ご批評は甘んじて受けます。

ただ、書名の意味まで含めた総合的な感想書くなら、最後まで読んでからにして欲しい
という希望を持っている、ということで、そういう話をしたつもりです。


あと、ウェブへの変換作業で書籍より確実に可能性があるのは、注釈テキストですよね。
あれを全部ポップアップ表示なりアンカーすることで、すぐに行ったり戻ったりしながら
テキストを読めれば、注釈参照しながら読むというスタイルにおいては、書籍よりウェブの
方が優れる「コンテンツ」になると思います。できれば、ウェブにテキスト化して掲載する
のであれば、そうした変換作業を行っていただくことで(できればそれが完成した状態に
なってから公開してもらうことで)、良いコンテンツクリエイションのスパイラルが
生まれてくるんじゃないか、と僕は思っていて、その意味で前回のクリエイティブの
スパイラルということを書かせて頂きました。

From: Motohisa Ohno
To: TSUDA Daisuke
Sent: Friday, August 10, 2007 11:19 PM
Subject: Re: CONTENT'S FUTUREの公開について

津田様

先のとおり、本書自身については読み終えてから書きます。

基本的な認識として、本書はCC(創造的共有地)と宣言されたわけですから、自由
に共有されることを想定していると考えます。ところが、そのコンテンツが(いまど
き)“紙”という、“とても共有しにくいメディア”でしか提供されていないのです。
「コンテンツ未来像の教科書」を目指しているにもかかわらず。この在り方は、たと
えばレッシグ氏の意図するCCとずれていると思います。もし、「オープンソース」
が大量のプリントアウトとしてしか提供されなかったら、ストールマンに冷笑される
気がします。

当然のことながら、色々な必要経費を負担したであろう出版社(翔泳社)との関係か
ら、ファイル自身を提供することが難しいことは容易に推察できます。ですから、そ
の点を深く追求しようとは考えていません(でした)。出版物がいきなりCC宣言さ
れるというだけで、十分インパクトを感じたからです。そして、(だからこそ)自ら
労力を割こうと考えたのです。また、私は発言の意図が伝わるかどうかということよ
り、作品に対する敬意という点で誤字は恥ずかしいと思います。しかし、(出版社で
はなく)津田様から「発言の意図を正確に伝えるための労力を」という指摘を受ける
のはおかしいです。これは“コモンズ”なのですから、それを「津田様が気にされる
のなら」、津田様が所有されているであろう最終テキストを公開(提供)されればよ
いだけだからです。この点が、津田様がCCを誤解されていると思う理由です。

あとがきや「クリエイティブのスパイラル」というご指摘から推察すると、津田様は
脚注を用語集という形で改変許可CCとして公開され(テキストファイルも)、それ
とは別に(あるいは合わせて)対談部分を「作品」としてコモンズにされなければよ
かったのではないでしょうか。商業出版物&CCというインパクトはなくなりますが。
IBMがLinuxというオープンソースを推進しているといっても、事例紹介にプ
ロジェクトのソースが添付されているわけではありません。共有すべきコンテンツ、
対価を受け取るコンテンツが共存してもよかったと思いますし、それはひとつの未来
像になったかもしれません。

大野

From: TSUDA Daisuke
To: Motohisa Ohno
Sent: Sunday, August 12, 2007 5:27 PM
Subject: Re: CONTENT'S FUTUREの公開について

津田です。

CCについてどう捉えているかは僕と大野さんで違うでしょうし、小寺さんや
それこそレッシグとも違うでしょう。で、僕はそこのとらえ方が違うことに
ついては特に大きな問題はないと思っています。ライセンスとしては明確に
条件が規定されているわけですから。

プログラムとテキストのコンテンツは、コンテンツの質が僕は違うと思っています。
なので、初期段階で紙でしか公開しないことを(仮に)レッシグやストールマンが
冷笑するとしても、それ自身については僕は何も思わないというか、そう思いたい
人は思えばいい、という感じですね。僕はCC至上主義者ではないですし、現状の
CCにはたくさん解決すべき問題が含まれているとも思っています。

実際問題として、PDFによる完全版の公開は多分僕から翔泳社にお願いすればやって
くれると思います。が、今のところは商業上の理由ではなく、あえて「紙」という
共有しにくい形でしか完全版を提供することに意味があるのではないかと僕は思って
いて、それをお願いしていません。

もちろん全文PDFによる公開を考えていないわけではなくて、時期が来れば
(もしくは全文をPDFで公開した方が良さそうだ、と僕と小寺さんが判断すれば)
それは行おうと思っています。

ご指摘のように、用語集だけ別立てにして改変許可OKにするということも考えなくは
なかったのですが、基本的には事実の羅列が多いものですから、著作権に抵触しない形で
掲載したい人が自分で「編集」して新たな創作物としてもらうか、それかそのままの
形で掲載してもらう、ということでカバーできるような気がしています。

もちろん僕も本書のあり方や、内容自身に全部納得してるわけではありませんし、
それは発売日やらページ数やらコストやらで、いろいろな部分で妥協してるところも
あるわけです。ただ、それでもかなりわがままを言って今の形でリリースできてる
部分もありますし、今後これをどうつなげていくか、という点についてはポジティブに
捉えてます。このシリーズはどんどん続けていきたいですし、次はウェブの形なのかも
しれないし、ラジオの形になるかもしれません。出版社が変わることもあるでしょう。
いろいろな人からいただいている感想も含めて、今後の展開の参考にしていきたいと
思っています。

From: Motohisa Ohno
To: TSUDA Daisuke
Sent: Tuesday, August 14, 2007 1:48 AM
Subject: Re: CONTENT'S FUTUREの公開について

津田様

たしかに、Webサイトに掲載されていないものでもCCを使うことはできます。
映画をCCにする場合に、高品質の動画ファイルを用意しなければいけないとか、
ロバート・サブダのようなしかけ絵本をCCにする場合に、設計図を作って
公開しなければいけないというようなことはありません。
しかし、繰り返しますがCCは「創造的“共有”地」です。テキストファイルを
お持ちの方から「間違いをなくすよう労力を割くこと」を要求されるというのは、
“共有が制限されている”とみなされてもしかたがないでしょう。

「CCをどう捉えているか、小寺さんと違う」と書かれているのは、
小寺様と、この件で話し合われたということなのでしょうか。
私は小寺様の記事には説得力を感じていますので、CCの捉え方について
津田様と小寺様との間に「意見の食い違いがない」のであれば、
ちょっとショックではあります。
もし、話し合われていないのであれば、一度、連絡されることをお薦めします。

ちなみに、私はCC至上主義ではありません。
正しく理解することと、信奉することは、全く別のことです。
そもそも現状のCCに含まれている解決すべき「たくさんの問題」とは何でしょうか?
CCはライセンス形態に過ぎません。目的に合わなければ選ばなければよいのです。

大野

From: TSUDA Daisuke
To: Motohisa Ohno
Sent: Tuesday, August 14, 2007 3:03 AM
Subject: Re: CONTENT'S FUTUREの公開について


津田です。


> しかし、繰り返しますがCCは「創造的“共有”地」です。テキストファイルを
> お持ちの方から「間違いをなくすよう労力を割くこと」を要求されるというのは、


テキストファイルは僕は持ってませんよ。入稿したテキストはありますが、
そこからさまざまな編集が入って、最終的な校閲などを経て印刷所に
入ってますから、それは完成品ではありません。
もっといえば、そうした手を経て印刷所に入れたデータも「完全版」ではなく
青焼きという最終工程の段階で、また修正を加えています。電子書籍として
販売する予定が今のところないこの本は、テキストデータとしての「完全版」は
印刷所しか持っていないということになります。前回のメールでお知らせしたように
それを印刷所から出版社を通じてもらうことは、僕が頼めばできるでしょうが、
それはあえて行うつもりは現状はない、ということです。

あと、誤解していただきたくないのですが、僕は他人が共有することを制限する
つもりはありません。間違いをなくして(から公開して)いただきたいといううのは、
僕の希望であって命令でも強制でもありません。

加えていえば、その希望が共有の制限を意図したものではない、ということは
ご理解していただきたいと思います。

あと、

> “共有が制限されている”とみなされてもしかたがないでしょう。

ここについては、あくまで大野さんがみなすということですよね。
僕個人は、僕が要求することでそうみなす人もいるというのは理解できますが、
CCにシンパシーを感じているすべての人がそうみなすとはまったく思いませんよ。

もっといえば、みなされても仕方はないんじゃないですか?
僕はそういう意図でやってないし、そうみなさない人も多くいると思って
今回のことをやってますし。


> 「CCをどう捉えているか、小寺さんと違う」と書かれているのは、
> 小寺様と、この件で話し合われたということなのでしょうか。
> 私は小寺様の記事には説得力を感じていますので、CCの捉え方について
> 津田様と小寺様との間に「意見の食い違いがない」のであれば、
> ちょっとショックではあります。
> もし、話し合われていないのであれば、一度、連絡されることをお薦めします。

CCについてはあとがきにも書いたように僕の強い希望で実現したところがあります。
小寺さんとCCの細かいことで話したのは、改変不可にするか改変可にするか、
という部分だけです。前にも申し上げたように、江渡さんは改変可(Share Alike)に
したいという希望がありましたが、小寺さんの希望(発言が意図しない形で流通する
危険性をかんがみて改変不可にする)で、江渡さんに改変不可にしてもらうことを
飲んでもらってます。そして、そこは当然僕も同意したところです。

CCをどう捉えるかどうかは僕は小寺さんではないのでわかりません。


> ちなみに、私はCC至上主義ではありません。
> 正しく理解することと、信奉することは、全く別のことです。

正しく理解することと、信奉することがまったく別だということは
僕も同意見ですよ。大野さんがCC至上主義でないことは自明のことだと
思いますし。


> そもそも現状のCCに含まれている解決すべき「たくさんの問題」とは何でしょうか?

たくさんあると思いますが、簡単にいえば、CCのライセンス規定では具体的複製態様を
著者がコントロールしたい際に及ばない領域が多すぎるというところです。
おおざっぱにしか規定できないってことですね。

最初にメールに書きましたが、例えば会社やイベントなどでの資料配付として
コピーして配布することは認めたい(それは、現実的に出版社に対して、
書籍のコピー許諾がたくさん来て、小さな出版社それの対応が人的コストと
なっていることなどがあげられますね)けど、インターネットのコピーについては
制限したいというニーズもあったときに、そこに対応できないというのは
端的な例でしょう。この本をそうしたかったのかどうかというのは別の話ですよ。


> CCはライセンス形態に過ぎません。目的に合わなければ選ばなければよいのです。

その通りです。僕はCCの趣旨を誤解しているとも思いませんし、
公開するときにはきちんとした形にしてから公開してねと希望を述べたことが
他人の共有行為を制限したとも思ってませんし、目的に見合ったから
この本はCCにしたのです。

何ならこの一連のメールのやり取りをご自身のブログに公開して世論に問うてみて
ください。僕の「希望」がCCの思想に反する形で共有行為を制限したのかどうか、
ネット世論がどう判断するのか大変気になるところです。

だって、僕は「公開止めろ」なんて一言も言ってないですよね?
公開(共有)自体は構わないけど、公開するのならできるだけきちんとした
形で出して欲しい。現実的に100%(に近い形で)改変禁止にするなら
スキャンしたものをそのまま掲載した方が良いわけですが、そこのところは
大野さんが労力を払っていただいてテキスト化してもらってるわけで、
100%同じものでなくても、それはいちいち文句付ける類のものではないだろうと
判断してるわけです。ただ、それでもOCRミスがあまりにも多かったので
(その意味では僕の最初のメールが良くなかったです。「いくつか残っているようです」
という配慮した書き方でなく、「見逃せないレベルのミスが多い気がします」と
書くべきでした)、「そんなに焦ってすぐ公開するんじゃなく、確認作業を
きっちりしてもらってから公開してもらいたいな」という希望をお伝えした
つもりでした。


ぜひCCに携わってもらっている人に、この問題をどう捉えるか議論して
いただきたいところです。これも個人的な希望ですが、繰り返しになりますが
一連のメールのやり取りをぜひブログで公開して世に問うてみてください。
おもしろい議論になりそうな気がします。

親書の公開になりますが、僕が大野さんにお送りした一連のメールについては
著作権を放棄いたしますので。

From: Motohisa Ohno
To: TSUDA Daisuke
Sent: Tuesday, August 14, 2007 4:28 AM
Subject: Re: CONTENT'S FUTUREの公開について

津田様

まずは、このような私信に逐一ご回答いただきましたことに感謝します。
後日、ブログには経緯の話も載せたいと思います。

大野